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CPU Load-Line Calibrationの挙動について検証してみた

OpenClipart-Vectors / Pixabay

CPU Load-Line Calibration(LLC)とは

LLCとは? そして、なぜMSI Z370マザーボードはオーバークロックのための最良の選択肢なのか?

LLCの導入まで、オーバークロック時には、「Vdroop」または「Vdrop」と呼ばれる厄介な現象に対処しなければなりませんでした。 Vdroopとは、CPU負荷が増加するとCPU電圧がわずかに低下する現象のこと。システムは、OC設定を安定に保つために必要な、vCoreの設定出力を維持することができません。 CPUの電圧は、システム負荷の下で、頻繁なBSOD(ブルースクリーン)またはクラッシュが発生するポイントまで低下します。あなたが完璧な常時OC設定を見つけたと思っても、Vdroopがあなたのシステムを不安定にしてしまうのです。

要約すると、「高負荷時に電圧降下するのを予防するために、VCOREどれだけ盛りますか?」というのを設定する項目。
盛った方が安定するが、代わりに、CPUとVRMの発熱量が増加する。

検証環境&基本BIOS設定

i7-7700K 全コア4.7GHz 常用OC(オーバークロック)

2019年3月9日

追加BIOS設定

検証項目以外の要素で自動変動がないように、念のため「CPU Current Capability」を「Auto」→「100%」に変更。

テスト1:Level変化による挙動について検証

OCCT4.5.1 「CPU:LINPACK」を「64ビット」、「LinpackのAVX対応」、「全コアを使用する」にチェックを入れて、5分実行。
「CPU Load-Line Calibration」の値をLevel1から順番に変えていって、5分実行後の最大値をHWMonitorで見る。
なお、「Additional Turbo Mode CPU Core Voltage」は「1.271」に設定。

テスト1:考察

BIOSの説明文にもあるように、ASUSのマザーボードの場合、Level1が一番盛られるVCOREが少なく、Level7が一番VCOREが盛られるはずである。
Level2~7の挙動を見る限り、Level5が何らかの誤差?で、VCOREが下がったこと以外は、レベルが大きくなるにつれ順当にVCOREが盛られているので、BIOSの説明文通りに見える。

明らかに挙動がおかしいのはLevel1。Level7よりもVCOREが盛られる結果となっている。
ASUS系マザー以外では、Levelが小さい方がVCOREが盛られるという仕様らしいので、その仕様にLevel1の挙動だけ強引に合わせたのだろうか・・・。

CPU温度、CPUパッケージ消費電力はVCOREの上昇に比例して、高くなっていくが、VRM温度についてはあまり変わっていないように見える。
LLCにVRMは関係なかったりするのだろうか。

事前にわかっていたが、やはりAuto設定は優秀。
実質的にはLevel2と同じ挙動をしているように見える。

テスト2:LLCで高レベルを設定するとオーバークロックは安定するのか

OCCT4.5.1 「CPU:OCCT」を「64ビット」、「ラージデータ」、「Number of thread:8」、「自動」にチェックを入れて、5分実行。5分実行後の最大値をHWMonitorで見る。
「CPU Load-Line Calibration」の値を最もVCOREが盛られないLevel2から開始し、「Additional Turbo Mode CPU Core Voltage」を「1.271」から0.005V刻みで減らしていき、エラーになった時点で、LLCをLevel7に変更し、どこまでVCOREを下げられるか確認する。

ここでLLCをLevel7に変更。

テスト2:考察

テストをパスした下限電圧を比べてみると、Level2は1.256で、Level7は1.226。LLCのレベルを上げると、0.03V電圧を下げられることがわかる。
CPU消費電力もLevel2の98Wに対して、Level7は96Wと、3Wほど、削減することができた。

この結果を見る限りは、Level2とLevel7で大差はないが、わずかながらLevel7の方が優秀と言えそうだ。

結論

ASUS系マザーでは、Levelの数字が大きい方がVCOREが盛られる。
ただし、Level1のみ例外的な挙動をしている。

Auto設定は、省エネ性に優れた設定を選ぶ可能性が高い。

誤差の範囲ともいえるが、巷で言われているようにLLCを高レベルにして、電圧を下げる設定にした方が、少ない消費電力で安定する模様。